プログラムについて

室長からひとこと

本プログラムの意義


尾藤 晴彦
MD研究者育成プログラム室長
平成27年4月1日〜

MD研究者育成プログラムは、本学医学部生による基礎研究活動を奨励する目的で、平成20年度より立ち上がっております。歴代の医学部長による絶えざるサポートと、初代室長の岡部繁男先生、前室長の吉川雅英先生の渾身のご尽力の結果、現在、多数の医学部生が最先端の基礎研究を自ら実践する場が実現しております。医学部の「正規の課外活動」として、医学系研究科の基礎系研究室にて主体的な研究を行うプログラムの意義は大きく、文部科学省にも現在支援していただいています。
近年の医学研究は極めて学際的で、specific disease mechanismの解明には、実は幅広いcuriosity-drivenな基礎研究の背景と経験がないと、歯が立たないことも明らかになってきました。その結果、世界各国では競って医学部内に、生命科学と基礎医学の融合的研究拠点を設置・充実させています。これを基盤に、医学部学生が患者のみならず基礎研究にもexposeされる医学研究者育成プログラムが立ち上がっています。日本の今日的医学部教育の枠組みの中で、医学部生の自主性を最大限に重んじつつ、基礎研究への主体的取り組みを組織的に支援するのが、東大のMD研究者育成プログラムの意義であるといえます。このような活動を通じ、「未来医学と未来医療の夢がぶつかる場を創る」のが当プログラムの意義だと考えています。

発見の喜びから価値創造へ

本プログラム発足に先立ち、東大医学部では、1970年代より永きにわたり自主的に運営されてきたフリークオーター(医学部のカリキュラムに飽き足らない学生に、実践的な基礎研究を、教員の裁量に基づき体験させる制度)が、知的好奇心旺盛な10代後半〜20代前半の若人の探究心を満たす役割を果たしていました。私自身も20才の夏より、医学部3号館の栄養学教室に入り浸り、脊山洋右先生・清水孝雄先生のご指導の受け、タンパク精製・酵素学・脂質分析・シグナル伝達など、生化学の基本を学びました。講義実習・鉄門サークル活動などの合間に、研究活動に没頭しましたが、疲れた頭をリフレッシュしたい時には、しばしば、医科研の上代淑人先生、新井賢一先生にも議論を挑みに行きました。研究が進展すると、自身で単離精製した酵素タンパクを吹田の国立循環器病センターに持ち込み、アミノ酸配列を決定したり、学会に忍び込み、他大学や海外の演者とのやりとりを楽しむようにもなりました。こうして「小さい発見」が、「個人の喜び」からじわじわと「新たな価値創造」に転換していく研究の醍醐味を、医学部在学中から味わう機会を得ました。このような経験をしたことが転換点となり、その後の私の研究人生を大きく決定づけたことはいうまでもありません。
老若男女にかかわらず、丁寧に実験を行い、オリジナルのデータを発表すれば、世界中の研究者に認めてもらえる、というオープンルールが研究の基本です。医学部のミッションは、目の前の患者とその病から謙虚に学び、そこで得た着想を発端に研究を進め、医学・医療の向上に貢献することですが、この大義故に各自がプレッシャーを感じてしまうことも希ではありません。道のりは決して平坦でなくても、「学び」から「貢献」までのプロセスに「喜び」が少なからずあり、世界の研究者との交流も豊富であることを医学部生として実感しておくと、その後いかなる医学研究に取り組む場合でも、きっと大きな自信になると思います。

第1歩を踏み出そう!

本プログラムは、医学部生が自主的に研究の第1歩を踏み出し、これが順調に発展するよう、学生の皆さんをきめ細かくサポートし、タイムリーに支援することを基本としています。幅広い学年にわたり、多感な医学部生を相手に、結果がすぐに見えない研究に対するexposureを推進することは容易ではありません。幸い当プログラム室は、有能なスタッフに恵まれております。室員一同、一致団結して、本プログラムがますます医学部生の皆さんの発展に役立てるよう微力ながら貢献していきたいと考えております。基礎研究に興味がある医学部生の皆さん、是非気軽にMD研究者育成プログラムまでご相談下さい。